[夫婦リスキリング] 家族力の解説③ 高めるとこんなに変わる!夫婦の会話の裏側

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[夫婦リスキリング] 家族力の解説③ 高めるとこんなに変わる!夫婦の会話の裏側

2024.11.25

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先日、こんなニュースを目にしました。

親子三代でマクドナルドで働き、職場で家族に会えるのが嬉しい、と答える76歳の記事です。

家族仲が良い方の声を聴くと、本当に嬉しくなりますね。

さて、今日は家族力について引き続き解説したいと思います。
家族力は、2023年に私たちが確立した、夫婦のコミュニケーションを充実させることで、本人もパートナーもそれぞれ人生をより豊かに生きるための技術です。
2020年のコロナ禍で日本人の生活様式は一変し、在宅を余儀なくされることとなり、家族時間が増えました。

私たち夫婦は、在宅時間がもっとあってもいいね、と話していたのですが、周囲の仲間たち夫婦は「もう耐えられない!!」と夫婦仲がどんどん悪くなっていった。
この違いを検証したところ、

夫婦のコミュニケーションさえ整えれば、夫婦仲は良好になり、家庭は安息の場となり、夫も妻も子も安定し、人間関係が良好となり、学校や仕事でエラーを起こすことが無くなり、生きやすくなる

ということが分かりました。

大事なのは、夫婦のコミュニケーション という部分。
ここ、忘れている人があまりに多すぎる…💦
家族は、多くの人にとって最も身近なコミュニティであり、人間形成には欠かせない重要な存在です。
子どもは、親を見て育ちます。夫婦の会話がどのような形で行われているかで、子どもの人間性が決まってきます。
ですので、家族が持つ機能を知っていただき、人間の能力や価値がどのように家族内で醸成されるかが理解できると、自分のことも、他人のことも、そして家族のこともきちんと扱えるようになります。

ですので、
今ちょっと家族の中でうまくいってないな…という人や、
過去に親やパートナーとの不穏な関係があって傷を負っている、それによって今自分の人間関係に問題が生じている、という人には、ぜひこれからの人間関係を良好にするためにも、家族力を知っていただき、金輪際人間関係で苦しまない自分に生まれ変わっていただきたいと思います。

[おさらい]人間関係の土台は、お互いの自己肯定感を理解することから始まる

育児や家族の話題において、近年最も多く聞かれるのが自己肯定感という言葉。
皆さんも一度は聴いたことがあるはず。
なぜなら、仕事や社会における人間関係や、結婚や恋愛でのパートナーシップ、自己実現などの人生のあらゆる部分に影響を与え、生きていく上での幸福感や満足度を決定づける一番大事な土台となるものだからです。
ここでは自己肯定感について少しだけ解説します。

◇特徴
自己価値に関する感覚であり、自分が自分についてどう考え、どう感じているかの感覚です。
言い換えると「自分の存在そのものを認める」感覚であり、「ありのままの自分をかけがえのない存在として肯定的、好意的に受け止めることができる」感覚のことをいいます。

◇いつどんなときに育つのか
3歳~12歳位までに「自分はどういう人間であるか」という自己認識(能力や価値、他者との人間関係、知性、感情などをどう感じているか)のベースが決まります。


◇欠けると起こる弊害
・不安や怖れを持ちやすく、生きにくさを感じる
・自信がなく、受身的
・他人の評価で自分を判断する
・人に評価してもらわないと不安だが、その評価に振り回される
・他者の意見を聞くことができない
・自分も他者も否定的に見る
・他人をジャッジする
・人間関係にトラブルを抱えやすい
・人との違いを認められない
・自分を正当化しないと不安
・自分の考え(意見)が言えない
・問題解決能力が低い
・罪悪感を持ちやすく、落ち込みやすい

(引用元:一般社団法人日本セルフエスティーム普及協会)

上記にある通り、自己肯定感が高い子になるか、低い子になるかは、12歳位までの育ち方で決まってしまうため、夫婦になってからでは遅いのですが、子どもがいるご家庭では間に合います。
幼少期から親や養育者が愛情を注ぎ、言葉がけや働きかけによって子ども自身が「無条件に受け入れられている」という経験を積み重ねてあげることで土台が育ちますので、ぜひ子育て中の人には意識的に子どもの自己肯定感を高めてあげてほしいです。

大人の場合、すでに高低については決定してしまっておりますが、自己価値を保つことができるコミュニケーションと環境づくりを心がけると、仕事や育児などで落ち込んでしまうときでも、家族が安住の場になることで、ネガティブな気持ちに打ち勝ち、乗り越えていける真の自信になっていきますので、意識的にやってみてほしいです。

大人になったらもう自己肯定感を高めることはできないの?という疑問がわいてきそうですね。
ココからは、もう一つの人間の欲求の土台をご説明します。

[おさらい] 人間の欲求を自尊心という

自分の話を聞いてほしい。
自分を一番だと認めてほしい。
自分は価値がある人間だと認めてほしい。
自分の行動は全て正解だと認めてほしい。

これが、人間の自尊心です。

人間には誰しもこのような欲求の土台が存在します。
そして自尊心は、すべての行動のベースになっていて、勉強を頑張るのも、人を好きになるのも、仕事を頑張るのも、おしゃれをするのも、すべてこの自尊心を満たすために人間は行動します。

そして、自分にこの欲求があるように、相手にも同じ欲求が存在します。ということは
良好な人間関係とは、この欲求を満たし合うことで成り立つもの なのです。

もう少し簡単に説明しましょう。誰かとうまくやりたいなら
相手の話を聞いてあげる。
相手を一番だと認めてあげる。
相手を最も価値がある人間だと認めてあげる。
相手の行動は全て正解だと認めてあげる。

これをやれば良い、ということです。

これが 最強!の良好な夫婦関係を構築する術 です。

家族力会話クイズ!

妻が
今日の夜ご飯どうする?
と聞きました。

さて、夫の答え方として、正解はどれでしょう。

 ①簡単なものでイイよ!うどんとか。
 ②簡単なもので良ければ僕が作るよ!
 ③何食べよっか?外行く?

  ・
  ・
  ・

答えは、②or③!が正しい答えです。

ポイントは、
・妻のニーズを探っているか
・妻の本音はどこにあるのか

という観点で見ると、②が正解の場合と、③が正解の場合があるからです。

この場合、妻としては「作りたくない」という本音か、「冷蔵庫に何もない」という現状か、「疲れた」という本音が隠れています。
ですので、作りたくないだけなら夫に作ってもらいたいが正解だし、冷蔵庫に何もないなら外食が希望だし、疲れたなら外にも出たくないから夫に作ってもらうか出前を頼むか、など、複雑に絡んでいるため、一度夫から妻の本音を聴きだすことが求められます。

ということで、①という答えは論外ですね。
皆さん、分かりましたか??

もう一問行きます。夫が
最近は仕事が忙しいから疲れやすい
と言いました。

さて、妻の答え方として、正解はどれでしょう。

 ①身体、大丈夫?あまり無理しないでね。
 ②毎日お疲れ様!よくやってるよ。
 ③私も仕事が忙しくて疲れやすいわ。週末、温泉でも行く?

  ・
  ・
  ・

答えは、②!

ポイントは、
・夫の本音はどこにあるのか
です。
夫は、妻からの心配や寄り添いをあまり好まず、信頼や尊敬のまなざしを欲しがります。
ですので、①の身体面の心配は無用だし、③のように一見寄り添いつつ、自分も疲れているからと温泉に誘うことは、夫からすると「自分のことを理解してくれていない」となるのです。

ある一言が夫婦の危機を救った

家族力メソッドの開発をしていた2022年頃、不仲で悩む1組の夫婦の相談に乗ったことがありました。
2人は結婚生活17年だったかな。
お互い、やりたいこともズレてきて、子どもも大きくなり、夫婦の会話は少なく、一緒にいる意味が分からなくなっている、とのことでした。
でも、本音を聴いたら「やり直せるならやり直したい」とのこと。

そこで私は男性の方にあるアドバイスをしました。
そこから数週間後、報告がありました。

出勤前の夫に突然「最近可愛くなったね」と言われたとのこと。
突然の一言に、夫の浮気を疑い、やましいことがあるのでは?と部屋を見渡し、夫の動向を探りつつ、久しぶりに言われた「可愛い」の言葉に浮かれてしまった。
いつも部屋着でいるのに、その日は洋服に着替え、ちょっとヒールの高い靴を下駄箱から出して履いてみたり、久しぶりに美容院に行ったり、手料理に時間をかけてみたり…
身なりを整えて鏡を覗く自分を見て、夫に喜んでもらいたいという想いから、普段と行動が変わっている自分に気が付いたそうです。

夫の方も、久しぶりに言った「可愛い」の言葉に照れて、会社ではソワソワしてしまったそう。でも今晩は早く帰って家族団らんでもしようと酒屋に寄り、おいしそうなワインを購入し、近くの花屋の小さな花束も目に入ったので購入したそうです。

玄関の扉を開けると、普段よりおしゃれをしている妻と、小脇にワインと花束を抱える夫の目が合い、つい笑ってしまったそうです。そして、久しぶりの「おかえり」「ただいま」の会話。
その晩は家族の会話が盛り上がって、楽しく過ごすことができた、と言っていました。

私からのアドバイスは

新婚当初を思い出して、妻を褒める言葉を伝えてください

でした。

ひねり出したほめ言葉が「可愛くなったね」だったそうです。

後日談として、夫は妻の姿を見ていて「俺とは仲良くしてないのに、今も可愛いのは何か理由があるのか。恋でもしているのか。」と疑っていたそう。
これを機会に伝えてみると、「まだ嫉妬してくれるのね」と妻は笑い、その夫婦は仲の良さを取り戻しました。
結婚17年目にして、改めてお互いを褒めることはとても照れるし、勇気が必要かと思います。
でも、心から出るほめ言葉は、妻を変え、夫も変え、夫婦を変えました。

そういう一歩を踏み出せるかどうか、も自分の勇気と決断にかかってきます。
そしてその今の行動が、数十年後にとても影響します。

このまま不仲で行くか、それとも仲良し夫婦に戻るか?

今が岐路なのかもしれません。

ありがとうの効力

先ほどの夫婦ですが、その後の変化で一番大きいのは家族内で「ありがとう」を言い合うことが増えたとのこと。

ご飯を作ってくれたら、ありがとう。
たたまれた洗濯物を見たら、ありがとう。
お風呂を沸かして、先に入ってきていいよと言われ、ありがとう。
そして母の日には夫からも花束のプレゼント。
父の日は妻からのありがとう。
いつも健康でいてくれてありがとう。
いつも家族を守ってくれてありがとう。

ありがとうと言い続けると、9.4年も長生きすることがイリノイ大学の研究で分かっています。

ありがとうと言い続けると、免疫力がアップします。

幸せな気持ちで作業にあたると、生産性が12%も上がると、イギリスのウォーリック大学の研究で分かっています。

ありがとうの反対は、当たり前。
何をやっても当たり前としか思ってくれない家族の中で、頑張れる人はいないでしょう。

だから夫婦のコミュニケーションを整える必要がある

せっかく大好きな人と結婚をして、幸せになれると思ったのに、結婚をしたら苦労ばっかり!!
そうならない為にも、夫婦のコミュニケーションを整えて、生涯仲良しな2人でいるための秘訣をお伝えします。

自分の話をする前に、相手に興味を持っていることを伝える一言をまず言いましょう。
「おかえりなさい。今日も無事帰って来てくれて良かった。ご飯にする?お風呂入っちゃう?」
※昭和時代の「おかえりなさい。お風呂にする?ご飯にする?それとも、ワ・タ・シ??」というセリフは実は夫婦関係の究極のテクニックなんですよね…

自分なりに、あなたを大切に思っている気持ちを伝え続けましょう。
「出逢った時から気持ちは変わらないよ」「生きていてくれてありがとう」「愛してるよ」など

自分なりに、相手をスゴイと思う長所や強みを伝え続けましょう。
「家族想いで優しい所にいつも助けられているよ」「仕事頑張っていてすごいね」「いつも穏やかでありがとう」「家がいつも綺麗なのはあなたが掃除してくれているからだね」など

家事や育児など相手のやったことに対して非難はご法度です。
→ここでは「ありがとう」の一択です

これをやり続ければ、夫婦はずっと仲良しです。
これは人間のメカニズムから考えた、夫婦円満のルールです。

家族力の説明はまだまだ続きます。
日々変化する人間と人間の共同生活が家族です。たくさんの要素が詰まって家族は成り立っていますので、ぜひ少しでも参考になれば幸いです。


今日もここまでお読みいただきありがとうございました
代表理事 武嶋愛